誰が行くか、そんな本屋

ホッテントリで本屋は入場料をとるべきとかそんな意見を見かけた。


 書店は入場料を取って良い
 入場料を取る未来の書店を考える

つまり、書店が「入場料」を取るのである。
「立ち読みしてもいいですが、お金を頂きます」
時間制限をつけるのはヤボというものだろう。一回の入場あたり、200円ぐらいとする。
但し、一冊でも本を買って帰ればこれは無料とする。だから、200円払うぐらいなら人は250円の週刊誌を買って帰るだろう。
よほどの人でない限り、買った本は読む。当然、また読もうかなという気になる人はいるかもしれない。

バカだなーと思う。
問題はたくさんあるが、ここでは学生に問題を絞る。基本的に学生(とくに中高生)は書店に入ることがなくなるだろう。筆者の提案する「購入時にはペイバックする」なんてのは何の保障にもならない。それ以上に、初期投資の抵抗感が大きい。「買わなければ返ってこない」という圧迫感だけで、客足を遠退けるには十分だ。なんで客足は減らないと断定出来るのか、不思議でならない。まるで別の経済圏に住んでいるようだ。
今でさえ学生の読書家は希有な存在になってしまった。入り口を遠ざけることで、読書が一部の好事家の趣味になっていく。しいては本屋産業そのものの危機に繋がるだろう。というと言い過ぎだが、十分に考えられる事だ。

これについてはやはり、磁気カード&自動改札というのが解決策になると思います。
磁気カードに「入場券」と「ポイント」をチャージできるようにするのです。

書店にも設備投資に大きな負担がかかる。簡単に言っているが、今の検索システムを作り上げるだけでも書店はかなり苦労しただろうに、これ以上の(維持費含めた)負担を強いるべきではない。しかもその負担が、ぱっと見だと利用者に取って負の効果しかもたらさないのなら(立ち読み客の問題を置いておいて)、なおさらだ。DRMによって消費者が違法コピーに走っている音楽業界と同じ、いやそれ以下の悲惨な状況になるだろう。

リアル店舗には、「Amazonで買っちまうぞ?」というような圧力に屈するのではなく、もっと自信を持って自らの「価値」をアピールしてもらいたいという願いがある。

もし書店が入場料を取る場合、消費者は報復的な態度をとる可能性だってある。絶対いくもんか、と僕だって考える。
僕は行かない。紀伊国屋ジュンク堂で、ジュンク堂だけが入場料の徴収を始めたとしたら、ちょっとぐらい遠くても紀伊国屋に行く。書店同士で協定なんか結ばれたらそれこそアマゾンの独壇場になるだけ。アマゾンは便利だが、一人勝ちさせるも気に食わないので本屋には頑張ってもらいたいと思っている。


筆者の主張は、既存の読書愛好家が気持ちよく本を読む為の税金のようにしか聞こえなかった。そのような態度では産業そのものが縮小してしまいかねない。
僕自身、本屋で実物を見たいという思いがある。池袋のジュンク堂には足しげく通っているし、気に入った本はその場で買う事にしている。アマゾンは、注文から配送までの間が煩わしい。

本屋好きの一人として、本屋の未来を考えた。たとえアマゾンに市場を食われても、実物を陳列する優位が揺るぐ事はない。

追記 11/23/00:12

そうですね・・・対案、本文中にないですね。申し訳ないです。
ちょっとアクティブなアクションが状況を思いつきませんが、考えて近日中にエントリ書こうと思います。今ちょっと上手い案は思いつきません。


僕の念頭にあったのは、本屋が特にアクションを起こさずとも適当な市場規模に落ち着くんじゃないかという考えです。リアルの物流が減るのは、今の時代仕方ないでしょう。しかし、

現在の市場規模=将来の市場規模=本屋+Amazon ではなくて、
現在の市場規模<将来の市場規模=現在の市場規模+Amazon

になるんじゃないでしょうか。特に何も対策しなくて適当な位置に落ち着くと思います。αの量がちょっと想像できませんが・・・。上記エントリだとAmazon<αになるんじゃないかと懸念したのです。