機械の歌声は不気味の谷を越えるか


不気味の谷現象

日本のロボット工学者、森政弘が1970年に提唱した。森は、人間のロボットに対する感情的反応について、ロボットがその外観や動作においてより人間らしく作られるようになるにつれ、より好感的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わると予想した。人間の外観や動作と見分けがつかなくなると再びより強い好感に転じ、人間と同じような親近感を覚えるようになると考えた。

□さっきamazonのCDランキングを見たが、本当に唖然とした

俺は断言するが、あの初音ミクの機械の声を聞いて感動してCDを買う奴は馬鹿だ。これは100%断言できる。
何であれがいいと思うの? なんであれのCD買うの? 本当に分からない。あれ機械じゃん。機械の声だよ? 誰だってあれ聞いて機械だって言うのは一瞬で分かる。それで感動するって本気で馬鹿なんじゃない? 

まず主観の押しつけ乙ってことで。

その曲が人間らしいか、あるいは聞く価値があるか判断することは、元増田や僕を含む聞き手それぞれの自由であって、元増田は「機械だから、受け入れられない」という偏見・前提ありきで語ってるように見える。
Vocaloidが、音声合成が未発達の技術だということは、周知の通りだ。比較的まともなレベルに達するまでは高い技術力と、泥のような微調整が必要だ。それはある程度は技術の進化が解決してくれるかもしれないが、どの程度まで自然になれるかは、まだわからない。


■音声エフェクトがリスナーを教育した

人間側から機械っぽい音声のアプローチとして、人間の声にオートチューンを噛ました非人間的なボーカルってのは現代じゃ普通なことで、パフュームとか、洋楽のR&Bとか、商店街でもかかっている。
ヘタクソなアイドルの歌唱にリヴァーヴやらオートチューンかまして誤摩化してる曲もたくさんある。Vocaloidが受け入れられる下地として、そんな音楽を取り囲む事情があるのは間違いない。


■そもそもボーカルに何を期待しているの?

俺ははっきり言うが、もっと人間が本気で歌ってるCDを買うべきなんだよ。じゃないとおかしい。プロの歌手が毎日どれだけ苦労してるか知ってるか? ボイトレ、筋トレ、喉や体調の管理、食事管理、書けばきりがない。

で、その楽曲は、作曲家が音楽理論を勉強して、毎日フレーズを紡ぎだそうとして苦心して、頑張って苦心してミキシングされた結果なのだけど、そこに考えが及んだりはしないの?
そういう人達の努力を無下にしているなら、そういう態度は、僕は個人的に許せない。作曲者の、演奏家の、プロモーターやら何やら、音楽に携わる人達の努力がそこにつぎ込まれている。
聞き手からすれば、ボーカルと言うのは大きな存在だけど、それだって全体の一部にすぎない。


そもそも日本ミュージックシーン全体がボーカル偏重で、それはそれで問題だと思うことがあったりするんだけど・・・。
ボーカルの顔と声と楽曲と、チャンスをつかむ幸運があれば、それで売れるんだ。バックのメンバーなんざ熱心なファン以外には顔すら覚えてもらえない。それはミスチルとかバンプオブチキンみてりゃわかること。(僕は嫌いじゃないが)


でも、それ以前の問題として

「自分は本物を知ってる。だからお前らの価値判断は糞」って論調は、それだけで元増田の品位を貶めるものだと思ったりした。


参考:
□初音ミクのキャラ性だけでVocaloidを批判するやつは、なにもわかっちゃいない - こてゆびミルクティー
□不気味の谷現象 - Wikipedia